厚生委員会視察③ 10月31日 兵庫県明石市 

 兵庫県明石市 子育て家庭ショートステイ事業とこども第3の居場所について

 1.子育て家庭ショートステイ事業

明石こどもセンターは、全国的に珍しい専任部署です。2019年に開設し、児童相談所機能と市町村機能を併せ持ち、緊急支援担当や里親担当など5つの担当で構成されています。その中の子ども支援担当がショートステイ事業を担当。保護者が一時的に子どもを家庭で養育できない場合に、施設で預かるだけでなく、里親家庭での預かり養育をするサービス(18歳未満)を行っています。

日帰りのトワイライトステイとショートステイサービスがあり、保護者の急病や出産、出張、冠婚葬祭、育児疲れなどで利用ができます。ショートステイは、育児疲れでの利用が多く、虐待防止や養育不安の保護者の支援として重要なサービスになっています。

 

里親が家族一緒に暮らし続けるための良き相談相手に

明石駅前のビルの中には、子育て世代や若者が過ごす場所や各種手続きができる窓口が設置されています。

里親の募集にあたり、里親説明会を開催して実際に里親をしている家庭の体験談を聞いてもらいます。里親の認定と登録には基礎研修(講義1日・実習1日)登録前研修(講義2日・実習1日)を受けます。登録に期限は5年間で更新時には(講義1日)を受講します。

2024年度の里親家庭でのショートステイの利用件数は423件で、明石こどもセンター(児童相談所)が支援している家庭がおよそ80%。事例紹介として、父親は出張が多く母親は精神の病気で療養中、小学生と幼稚園の兄弟がいる家庭。父親の出張中に近隣の里親(兄弟一緒)を中心に1~2泊で利用していたが、母親の病状悪化と金銭的な負担から2か月間の一時保護(A里親)希望。父親は、出張のない部署に異動し、休日出勤時には、A里親を中心に里親ショートステイを利用しながら在宅生活を継続。子育ての良き相談者としてもつながっています。

近隣の里親を利用することで見守りの目が増え、子どもや保護者の変化に気づきやすくなります。里親家庭とのマッチングや個人情報や金銭のやり取りなどハードルが高いものの、様々な人との出会いの中で、子どもたちの育ちを支えることができる事業だと思います。

 

2.こども第3の居場所について ―公設民営のフリースペース―

明石市は、「こどもを核としたまちづくり」を進めるため、公設民営型のフリースペース「あかしフリースペース☆トロッコ」を2021年9月にスタート。毎週月曜日にこども会議を開き1週間のプログラムを子どもたちが決めます。学習支援、課外活動のほかに、一緒に食事作りをしたり、地域やいろんな分野の講師を招いて子どもたちが主体的に学び、遊ぶことができる場所です。また不登校などの悩みを抱える子どもたちやその家族の相談の対応も行っています。2024年には待機児童が約60人に。次の場所が必要となり、2025年1月に2か所目の公設民営型「フリースペースここのば」がオープン。また同じ場所にこども若者交流施設「あかしユースポート」を開設。音楽室や学習室、フリーコーナーがあり、小中学生、高校生が無料で利用できます。

明石市は、2016年、国の障害者差別解消法の施行と同時に市独自の「障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」と「手話言語・障害者コミュニケーション条例」を制定。その年、泉市長の在任中、生活者ネットワークの視察に同行して以来の訪問となりました。宿泊したホテルのロビーで働いていた職員の胸元に「目に見えない障害を持っています」バッチを見つけ、条例が街の中で活かされていると感じました。子どもを真ん中に進める明石市の取組を、小平でも行っていけるよう提案につなげます。