障がいがあっても地域で共に学び・暮らす~弟を通して実感すること
■インクルーシブのたいせつさ
私は4人きょうだい。ほぼ年子の3姉妹の末っ子に5歳違いの弟がいます。三姉妹のケンカは日常茶飯事。弟は、騒がしい声にも動じずとてもよく寝る子だったのを覚えています。ハイハイして、伝い歩きをしてと大きくなっていくうちに、母親は、名前を呼んでも振り向かないことに気づき、大学病院で検査したところ、全く聞こえていないことがわかりました。
弟は好奇心旺盛で、一度行って楽しかったことは覚えており、一人で出かけてしまい、必死になって探しまわったことは数え切れず。見つかるのは、釣り堀だったり、近所に住むおばあちゃんちだったり。人なつっこいので、地域の人たちも弟のことは覚えてくれて面倒を見てくれたのでとても助かりました。小学生になると地域の野球チームに入れてもらうことができました。
コーチは、「お母さん、ひとりでもだいじょうぶだから」と合宿も弟一人で参加させてもらいました。社会福祉協議会のおこなっていた夏の旅行にも参加したり地域の人たちにはお世話になりました。電車で離れたところにある聾学校に通っていましたが、このように地域の人とかかわっていたことで、就職してもしっかり自分の意思を伝えることができるようになったのだと思います。弟の友達には、社会に出て急に聞こえる人の中で仕事をすることになり鬱になってしまう子もいました。
弟の成長を見ながら地域に暮らすこと、インクルーシブの必要性を実感しました。
もちろん、障がいに沿った学習支援が必要だし、どのような学習環境を選ぶかは個人の意思で決めることも大切だと思います。しかし地域で暮らし障がいがあっても、なくてもともに歩み寄ってお互いを理解することが、どちらにとっても暮らしやすくなると思います。