6月定例会報告 一般質問1件目「子どもと大人がともに学ぶ包括的性教育をすすめよう」

世界におけるセクシャリティ教育のスタンダード

2009年にユニセフやユネスコ、WHOなどが共同で作成した「国際セクシャリティ教育ガイダンス」が国際的な性教育の指針となっています。ガイダンスは2018年に改訂され、健康と福祉、人権とジェンダー平等を尊重し、子どもや若者が健康で安全で生産的な生活を送ることができるようにすることを目的に、包括的性教育ということばと概念が示されました。日本ではSNSを介した性犯罪に子どもたちが巻き込まれたり、若年層の人工妊娠中絶などが課題になっていて2020年に法的指針が発表されました。

 

幼児期からの包括的性教育を

2023年から全国の小・中学校をはじめ保育園で、生命の尊さを学び、性暴力根絶を目指して、「生命の安全教育」を行っています。小平市でも同様に行われ、保育園では、絵本と教材を使い時間を設けて話を行うほか、着替えの時の声掛けやシャワーは下着をつけて行うなどの配慮をしているとのことです。

小・中学校では、道徳や保健体育、特別活動の時間で手引きに従い授業を行っているとのことですが、日常生活のなかでの、ご飯を作ることや掃除をするなどの家事の分担に性差は関係ないこと、両親が揃っていることが当然ではないことなど、いろんな家族の形があることが当たり前であるということ含めて性の多様性やジェンダー平等の理解を進めていくことが必要です。

 

性被害から子どもたちを守る ~デートDV講座をさらに進めよう

生活者ネットワークは、中学校でのデートDV講座の開催をずっと要望してきました。そして2019年に2校で行うことが計画されましたが、新型コロナ感染症により中止。しかし翌年3校で行われ、2022年からすべての中学校の3年生で行われるようになり、2023年には、小平市立第三中学校の1年生から3年生まで行われるようになりました。必要と判断されたからこその結果だと思います。この結果を受け、全中学校で1年生から行うことを要望しました。

 

専門家からの正しい性教育が必要

14歳未満と15歳の人工妊娠中絶は、減少していますが、厚生労働省の2022年の人口動態統計と衛生行政報告から算出された14歳未満の妊娠数に対する中絶の割合は84.5%、15歳でも67.5%にも上り、出産している子どもたちもいることが分かります。家族の理解があり子育てと教育の両立ができている子はどれくらいいるのでしょうか。一生心に残る傷を負わないためにも、自分のからだは自分のものだということ、避妊の方法や正しく性について学ぶ機会が必要です。

2020年から小平第五中学校で東京都のモデル授業として、指導要綱よりも一歩踏み込んだ内容の「産婦人科医と連携した性教育の授業」が行われていましたが、残念ながら2024年にはモデル校から外れてしまいました。しかしながら、この授業における効果は実感しているとの答弁が教育委員会からありました。これを受け、これまでのノウハウを活かして、今後も続けていってほしいことや市教育委員会から東京都に対し、もっと多くの中学校で実施できるよう求めていってほしいと要望しました。

 

大人もともに学ぶ包括的性教育

子どもに向けて、無意識な言葉かけで子どもを傷つけないように、大人に向けても包括的性教育の理解を進めていくことが必要です。
学校公開で行われる道徳地区公開講座や公民館での連続講座を行うほか、母子保健での検診時に保護者にどのような形で情報を得たいかアンケートをおこない、提供できるようにしてほしいと提案しました。

 

包括的性教育の視点を全庁的にすすめよう

自分のことを大切にして同時に相手のことも大切にすること、性についての正しい理解と性の多様性についての教育、望まない結果にならないための知識とリスクの回避の情報提供などを幼いころから段階的に継続して行うことが必要です。包括的性教育の視点を全庁的に考え、子どもだけでなく大人にも浸透していくような取り組みを進めていくことが大切です。今後もどのように取り組んでいくかしっかりと注視しつつ提案していきます。