滋賀県の治水の考え方と浸水警戒区域の指定状況とグリーンインフラの取組について

関西方面の視察の最後は、滋賀県のグリーンインフラと流域治水についてお話を伺いました。

流域治水の取組み

滋賀県は、2000年から8回の台風や豪雨被害に遭った経験から、2014年「滋賀県流域治水の推進に関する条例」を議決・公布しました。

流域治水対策と水害に強い地域づくり

―どのような洪水にあっても人命が失われることを避ける―
条例に基づき、これまでの対策(ダム・堤防など)に加え、以下の取組みをしています。

「ながす」…河川改修、適正な維持管理
「ためる」…調整池、グラウンドや森林の雨水貯留、水田など
「とどめる」…水害防備林、土地利用規制、建築物の耐水化
「そなえる」…水害履歴調査、公表、防災教育、訓練、防災情報の発信

県と自治体、市民が合意形成して水害に強いまちづくりのため、「自治会役員向け図上訓練」「自治会・学校での出前授業」「危険個所を確認しながらのまち歩き」「大学と連携して水害履歴の聞き取り調査」「ハザードマップ看板の設置」「建替え時のかさ上げは県から1/2の補助」など、自治体職員がサポートしながら行っています。

異常気象による集中豪雨の被害の備えとして、災害対策の取組みをきめ細やかに市民参加でおこなっているところは参考になり、市の施策にも活かせると思います。

 

グリーンインフラの取組

グリーンインフラの捉え方として、自然環境が持つ自律的回復力をはじめとする多様な機能を積極的に活用し、環境と共生した社会資本整備や土地活用等をすすめる取組としています。

自然が持つ多様な機能…治水、土砂災害防止、地震津波減災、大災害時の避難場、水源・地下水涵養、水質浄化、二酸化炭素固定、局所機構の緩和、地域のための自然エネルギーの供給、資源循環、人と自然に優しい交通路、害虫抑制、食糧生産・一次産業の高付加価値化、土砂供給、観光資源、歴史文化機能の維持、景観向上、環境教育の場、レクリエーションの場、福祉の場、コミュニティーの維持

多岐にわたる機能を防災・減災 地域振興 環境保全に大きく分類して様々な取組を連携させ、人口減少・少子化・社会資本の老朽化・気候変動に伴う災害リスクの増加・コミュニティーの維持などの地域課題を同時に解決するためにグリーンインフラを導入。今ある施策を活かし新たに予算を組むのではなく、グリーンインフラの考え方で、各課連携して取組をすすめているところです。

・県民と協働した森づくり…植樹・育樹活動
・廃川した跡地の公園・・・市民の交流拠点とにぎわいの創出 災害に強いまちづくり
・多様な主体の共同による小さな自然再生・・・魚道の復活 身近な自然に愛着 地域の活性化

活用事例をまとめ、取り組み方針を策定している段階です。今後の取組に注視していきます