視察報告① 宇部市~引きこもりに悩む家族と当事者が本当の支援につながるために

左 柴尾、右 三原さん(福生ネット)

ネット議員視察に行ってきました!

今回は早くから予定を組んでいましたが、急遽、さとう悦子議員に公務が入り、福生ネットの三原議員と柴尾のふたりで行ってきました。

8月4日 宇部市では、2015年4月にひきこもり相談支援充実事業を実施することとなり、ひきこもり支援で実績のある「NPO法人ふらっとコミュニティ」に委託し、専門的相談・支援をスタートしました。

また2020年に民生委員やケアマネ等に向け行った「ひきこもり実態調査」で支援体制が十分でないといった課題が浮き彫りになり、山口大学医学部に委託して2022年7月から2025年3月の3年間で「SDS支援システム開発講座(Social Distancing Syndrome:社会的距離症候群)」を開設して、ゲートキーパーなどを養成する支援者養成講座等を実施しました。

当事者を真ん中に置いた支援をするには、家族の学びが必要

「ふらっとコミュニティ」は2005年に精神障碍者の支援を行うためにスタートし、現在は、宇部市に「ひだまり」山口市に「ひより」周南市に「ひなた」の3ヵ所のひきこもり支援の居場所を運営するほか、山陽小野田市と萩市からのひきこもり支援の委託を受けています。

相談を受けてから社会参加につなぐまで伴走型支援を行う「ひきこもり支援の段階と支援システム(山根モデル)」に沿って実施する家族心理教育は、対人関係コミュニケーション分析シートを作成して問題を可視化し、その気づきの中から家族が向き合う方法を理解できるように具体的な声のかけ方などの学習を行っています。相談を受けてから始まる家族ケアは、家族関係の改善に向けた支援を行い、改善が見えてきたところで当事者の状況に応じ居場所を案内しています。居場所では、手仕事をしたり、作った作品をイベントで販売したりします。当事者の課題についても支援しながら段階的に社会参加できるよう地域活動や就労につないでいます。並行して精神科訪問看護ステーションと居宅介護支援事業も運営していて、これらの資源も活用して包括的支援につないでいます。

対話の継続が家族関係の改善につながる

本人を否定することなく受け止め、対話を繰り返すことで次第に家族が変わり本人が変わっていくこと、そして支援する人にそのような意識がなければ連携があっても支援につながらないとの理事長の山根さんの言葉の一つひとつに重みを感じました。「口をきかない」「姿を見せない」「些細なことで暴力的になる」子どもに、どう対応したらいいかという親に対して「頑張りましょう」というだけで改善しないこれまでのひきこもり支援の課題に対し、「伴走型支援 山根モデル」と支援者向けの養成講座を行うことで8050問題をはじめ様々な理由でひきこもりの状態にある当事者と家族の支援を包括的に行う画期的な宇部市の取組と実績を伺い、参考にするべきだと強く思いました。今後の小平市のひきこもり支援に活かしていくために今回の視察での学びを提案につなげます。