厚生委員会の行政視察報告(25日~27日) 3日目 医療的ケア児・者と家族の目線でつくられた施設「AINOMI」

 ~宮城県仙台市の「医療的ケア児・者を対象とした医療型ショートステイ施設」

あいの実の前で

医療型ショートステイ「あいの実ストロベリー」・生活介護「あいの実ブルーベリー」は、2023年4月にオープン。重い障がいがあっても、医療的ケアがあっても受け入れられる施設です。福祉の目線から、病院のようではない、家族も滞在したくなるような設計がされています。利用者が、ベッドに寝ていてもまぶしくないように間接照明にしてあり、移動をしても自分がどこにいるのかわかるように吹き抜けで梁がみえるようになっているなどの配慮があります。病時でも受け入れができるよう陰圧室の設備があり、入浴は同時に3人まで利用できる、更衣も寒くないように浴室で出来るようスペースをとっています。おむつ替えスペースも設置され、プライバシーの確保はもちろん、とにかく利用者の目線でつくられています。また、オンライン診療を用いた次世代型診療所があり、家から出ずに予約して診察を受けられます。家族に何かあった時などの緊急時の短期入所も可能になっています。(カルテがあることが前提です。)

梁が見えるようになっている天井の構造

現在「あいの実」全体の宮城県内での医療的ケア児・者のシェア率は7~12歳、16~19歳の通所者が約4分の1を占めていて、通所者81人のうち、この医療型ショートステイ・生活介護施設は54人が利用しています。高いニーズがあることがわかります。

ロの字形の建物の窓からは、どこからも緑豊かな景色が見える

 

 

 

 

 

 

必要とする人がいるならつくろう

あいの実「AINOMI」は、3人の主婦で立ち上げた訪問介護事業所が始まりでした。そこで医療的ケアを必要とする依頼が入り、受け入れる事業所が少ないことを知り、始めました。その後、医療的ケアを必要とする子どもが成長すると入浴時に大変苦労している保護者の姿を目の当たりにし、入浴専門の施設をつくりました。また、ある日呼吸器をつけた子どもの入浴依頼が入りました。呼吸器の必要な人のケアは危険を伴う上、資格をとる必要がありましたが必要とする人がいるならばと受け入れを始めました。現在仙台市内に3か所事業所があり、それぞれの場所で高齢者・障がい者・児の様々なサービスを行っています。

中庭の樹木は山から移植されたもので、自然に囲まれたとても落ち着く空間

利用者だけでなくその家族も尊厳をもって自分らしく地域で共に生きるには、いまだサービスは足りません。「AINOMI」のようにワンストップ・サービスで実現させるという理念のもと、介護は家族だけでなく、社会全体で支えていくためにもこのような施設がもっと必要だと強く思いました。